「株の仕組み」で株価が上昇するメカニズムについて少し触れましたが、ここでは株価が上下する要因についてさらに詳しく解説します。株価の動きには様々な背景があり、それを理解することで投資の楽しさや面白さが増すかもしれません。さっそく株価が動く理由を考えてみましょう。
企業の業績が影響する
株価が動く最も直接的な要因の一つが、企業の業績発表です。投資家がその企業の業績が良くなると見込めば、株を買いたい人が増え、結果として株価が上昇します。逆に、業績が悪化する可能性があると判断された場合、売りが先行して株価が下がることもあります。企業の業績は、株価に非常に大きな影響を与えるため、定期的な業績発表のタイミングには特に注目が集まります。
為替の影響
為替の変動も株価に大きな影響を与えます。たとえば円安になると、日本からの輸出が有利になるため、輸出関連企業、特に自動車メーカーや電子機器メーカーの株価が上昇する傾向があります。逆に、円高が進むとこれらの企業にとって不利となり、原材料などを仕入れて国内で販売している企業には有利に働きます。為替の変動は、グローバルに展開する企業の業績に直接影響を与えるため、投資家は為替の動向を常に注視しています。
金利と株価
金利が下がると、企業や個人が銀行から安くお金を借りられるため、消費や投資が活発化します。結果として市場に出回るお金が増え、株価が上昇しやすくなります。逆に金利が上がると借入コストが高くなり、消費や投資が抑制され、株価は下がる傾向にあります。金融政策によって、金利が上下することで、株価に影響を与えるのです。
業種全体の動向
業種全体が注目を集めるニュースが出ると、その業種に属する企業の株価が上昇することがあります。例えば、新しい技術やトレンドが注目されると、その関連企業が市場で人気となり株価が上がります。コロナ禍の際には、人との接触が少ないグランピングやテクノロジー関連の事業が注目を集め、それに伴い関連企業の株価が上昇しました。つまり、ニュースやトレンドによっても株価は変動するということです。
知名度と人気の影響
株価が動くもう一つの大きな要因は人気です。例えば、投資家がよく知る企業、トヨタやユニクロ(ファーストリテイリング)などのように、知名度が高い企業は自然と多くの人々の投資対象になりやすいです。逆に、知名度の低い企業は投資家に注目されにくく、株価が上がりにくい場合があります。上場企業は約4,000社もあるため、知らない企業の株に投資することは難しいのです。
感情による売買と企業の本来の価値
株価の動きには、投資家の感情も大きく影響します。多くの投資家が感情に任せて売買を行うことで、企業の本来の価値よりも株価が過剰に上がったり下がったりすることがあります。しかし、長期的には株価はその企業の本来の価値に落ち着く傾向があります。そのため、企業の本質的な価値を見極めることができれば、株価が割高なのか割安なのかを判断しやすくなります。こうしたテクニックについては、後の章「PERで見つける割安株」で詳しく解説しますので、そちらもぜひご覧ください。
まとめ
株価が動く理由には、企業の業績、為替の影響、業種全体のニュース、そして人気といった多くの要因が関わっています。これらの要因を理解し、背景を考察することで、より深い投資の知識を得ることができるでしょう。株価の動きには一時的な感情やトレンドも影響しますが、長期的には企業の本来の価値に落ち着いていきます。そのため、投資を行う際には冷静に判断することが重要です。今後も、様々なテクニックを学びながら、より賢い投資判断をしていきましょう。