株式投資を始めるとき、最初に学んでおくべき重要なスキルの一つが「注文方法」です。正しい注文方法を理解することで、効率的に株を購入したり、リスクを管理したりすることが可能です。ここでは、代表的な注文方法である「指値」「逆指値」、そして取引の状況をリアルタイムで確認できる「板」について詳しく解説します。
株を注文する際に決めるべきこと
まず、株を注文する際には、いくつかのポイントを決める必要があります。主に次の4つを確認しておきましょう。
- 銘柄: どの企業の株を買うのかを選ぶ。
- 何株買うか: 銘柄によって最小取引単位が異なることがあります。100株から買う銘柄もあれば、10株から買えるものもあります。
- 指値か成行か: 価格を指定して買う「指値注文」か、市場価格で即座に買う「成行注文」かを決めます。
- 注文の有効期限: 通常、注文は当日限りですが、注文が成立しなかった場合に備えて、1週間や1か月といった有効期間を設定することもできます。
指値注文とは?
指値注文は、購入や売却を希望する価格を自分で指定する注文方法です。例えば、ある銘柄が現在1,000円で取引されている場合、「900円で買いたい」と思ったら、その価格で指値注文を出します。価格が希望通りの900円まで下がった時に初めて取引が成立します。
- メリット: 希望価格で取引ができるため、無駄な出費を避けられる。
- デメリット: 希望価格に届かない場合、取引が成立しないこともある。
また、指値注文を行う際には、以下の項目を決める必要があります。
- 株数: 何株を購入するか。
- 価格: いくらで買うのか、もしくはいくらで売るのかを指定します。
- 有効期限: 当日限りか、それとも1週間や1カ月有効にするか。
逆指値注文とは?
逆指値注文は、株価がある価格に達した時に自動的に売買を行う注文方法です。特にリスク管理に有効です。例えば、現在1,000円の銘柄を持っていて「株価が950円以下になったら損失を抑えるために売りたい」という場合、950円で逆指値注文を出すことができます。株価が950円に到達すると自動的に売り注文が執行されます。
- メリット: 株価が急落する際に、自分が不在でも自動的に売却でき、損失を最小限に抑えられる。
- デメリット: 指定した価格に達した際、自動的に注文が出されるため、一時的な値動きで売却してしまうことがある。
なお、証券会社によっては逆指値注文に対応していない場合があります。このため、逆指値注文を利用したい場合は、取引を行う証券会社にその機能があるか確認が必要です。
板(いた)とは?
板とは、株式市場で現在出されている注文の情報をリアルタイムで確認できる画面のことです。具体的には、買いたい価格と売りたい価格の注文が一覧で表示され、どの価格帯に多くの注文が集中しているのかがわかります。
- 板の見方: 板には「買い」と「売り」の注文が並んで表示され、価格と注文数が確認できます。たとえば、多くの買い注文が入っている価格帯ではその価格で株が買われやすく、逆に売り注文が多い価格帯ではその価格で売られやすくなります。
ただし、成行注文は板に表示されません。成行注文は、価格を指定せずに市場価格で取引を行うため、板に載らず即座に処理されます。
板(いた)に関する注意点
板を見て注文状況を確認する際に注意すべきポイントとして、「特別気配」「注意気配」「ストップ高」の三つの概念があります。
特別気配
特別気配とは、買い注文や売り注文が一方向に集中し、通常の価格変動幅を大きく超えてしまう状況で発生します。例えば、急激な株価上昇や下落が起こり、取引所が株価の安定を図るために売買を一時停止し、価格調整を行う場合に使われます。この特別気配が発生している時には、通常の取引が一時的にできなくなるため、急な値動きに対する警戒が必要です。
注意気配
注意気配は、取引に異常な動きがある場合に表示されます。通常、買い注文または売り注文のいずれかに極端な偏りが見られる際に、取引所が投資家に注意を促すために表示されるものです。特定の方向に偏りすぎた注文は、相場の乱高下を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
ストップ高
ストップ高とは、株価が1日の取引で上昇できる最大値に達した状態を指します。これ以上の価格上昇が認められないため、買い注文は出せますが、それが成約することはありません。逆に、株価が急落して下げ幅の最大値に達した場合は「ストップ安」と呼ばれます。ストップ高になると、その日の取引がそれ以上進まないため、次の日の取引開始時にどのような動きが出るかが注目されます。
これらの注意点を踏まえながら、板の動きを理解し、注文の際のリスク管理に役立ててください。
成行注文(なりゆきちゅうもん)とは?
成行注文は、価格を指定せず、現在の市場価格で即座に取引を行う注文方法です。例えば「今すぐに株を買いたい」と思ったら成行注文を出します。価格を指定しないため、迅速に取引が成立しますが、市場の状況によっては予想以上の価格で取引されることもあります。
- メリット: すぐに取引が成立する。
- デメリット: 思っていたより高い価格で買ったり、安い価格で売ったりするリスクがある。
5. その他の注文方法
- 分割注文: 大量に株を購入したいとき、価格を少しずつ変えて分けて注文する方法。
- 時間指定注文: 指定した時間までに注文が成立しなければ自動的にキャンセルされる注文。
まとめ
株式投資を始める際には、注文方法をしっかりと理解することが大切です。指値注文で価格を指定したり、逆指値でリスクを管理したりすることは、初心者にとって重要なスキルです。また、リアルタイムで取引状況を把握できる「板」を活用すれば、相場の動向を視覚的に捉えることができ、戦略的な投資が可能になります。これらの注文方法を上手に使い分けて、投資の成功に繋げましょう。