株式投資を始めたばかりの方にとって、個別株の評価にはいくつかの重要な指標があります。ここでは、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)の3つの指標について解説します。
純資産とは?
まずは、株式投資の指標を理解する上で重要な概念である純資産について説明します。純資産とは、会社が保有する総資産から負債(借金など)を引いた金額のことを指します。この純資産は自己資本とも呼ばれ、企業の安定性や安全性を示す一つの目安です。
また、企業の自己資本と負債の割合を示す指標として、自己資本比率があります。この比率が高ければ高いほど、企業は自社資金で運営している割合が大きく、安定した経営を行っていると評価されます。業種によって異なりますが、自己資本比率が50%以上であれば比較的安心とされ、20%を下回ると借金が多い企業と見なされることが多いです。
PER(株価収益率)
PER(Price Earnings Ratio)は、企業が上げる利益に対して現在の株価がどれだけの倍率で評価されているかを示す指標です。具体的には、株価を1株当たりの利益で割ることで求められます。具体的には、次のように計算します。
$$
\text{PER} = \frac{\text{株価}}{\text{1株あたりの利益(EPS)}}
$$
- 株価:市場で取引されている1株の価格
- 1株あたりの利益(EPS):企業が得た利益を発行済み株式数で割ったもの
PERの解釈
- 高いPER:株価が利益に比べて高いため、将来の成長期待が高いとみなされます。
- 低いPER:株価が利益に比べて低く、割安とされることがありますが、企業の成長性やリスクも考慮する必要があります。
一般的に、PERの標準値は15倍とされています。これを基準にして、PERが高ければ市場がその企業に期待しているということになり、逆に低ければその企業の成長性にあまり注目していないといった評価がされることもあります。
PBR(株価純資産倍率)
PBR(Price Book-value Ratio)は、株価が企業の純資産に対してどれだけの値段がついているかを示す指標です。具体的には、株価を1株当たりの純資産で割ることで求められ、計算式は次の通りです。
$$
\text{PBR} = \frac{\text{株価}}{\text{1株あたりの純資産(BPS)}}
$$
- 1株あたりの純資産(BPS):企業の純資産を発行済み株式数で割ったもの
PBRの解釈
- 高いPBR:株価が純資産に比べて高いため、将来の成長性が期待されている可能性があります。
- 低いPBR:株価が純資産に比べて低い場合、企業の評価が低いとされ、投資機会とみなされることがあります。
一般的に、PBRが1倍未満であれば、その企業の株価は割安とされることが多く、0.5倍まで下がると超割安と見なされることもあります。しかし、PBRがあまりに低すぎる場合、企業に隠れた損失や借金がある可能性も考えられるため、注意が必要です。極端に低いPBRは、投資家にとって倒産のリスクを示す警告信号と見なされることもあります。
ROE(自己資本利益率)
ROE(Return on Equity)は、自己資本に対してどれだけの利益を上げているかを示す指標です。計算式は以下の通りです。
$$
\text{ROE} = \frac{\text{当期純利益}}{\text{自己資本}} \times 100
$$
- 当期純利益:企業が1年間で得た利益
- 自己資本:企業の自己資本部分(株主からの出資など)
ROEの解釈
- 高いROE:自己資本を効率的に使って利益を上げているとされ、企業の運営が良好であることを示します。
- 低いROE:自己資本に対する利益が少ない場合、経営効率が良くない可能性があります。
ROEが高い企業は、少ない資本で効率的に利益を出しているため、良い経営をしていると判断されることが多いです。日本の上場企業の平均ROEは約9%です。これを基準にして、自分が投資を検討している企業のROEを比較し、企業の収益力を測ると良いでしょう。
まとめ
株式投資を行う上で、企業の価値を判断するために使用される指標には、ROE、PER、PBRなどがあります。ROEは企業の資本効率を示し、PERは企業の利益に対する株価の評価を測り、PBRは純資産に基づいた株価の割安・割高を判断するための指標です。これらの指標をしっかりと理解し、企業の財務状況や成長性を評価することで、より適切な投資判断ができるようになります。